妊娠中につくられる歯(歯の発生)
受精すなわち精子と卵子の出合いから生命が始まります。その出合いから3-5週間後には、目や耳、口などの器官が出来始めます。胎児の体長がまだ1cmあまりのとき(受精6週間後)に歯の芽"歯胚"ができ、歯づくりがスタートします。
胎児の歯は大体1週間のサイクルで乳中切歯、乳側切歯、乳犬歯、第1乳臼歯、第2乳臼歯の順でつくられていきます。この"歯胚"は妊娠14週くらいで、大体歯の形がわかるような大きさになります。形をつくっているのはエナメル芽細胞で、エナメル質をつくります。妊娠18週ころから歯胚にカルシウムやリンなどの無機質が沈着し始め、エナメル質、象牙質がつくられ、歯が硬くなりだします。この変化は石灰化とよばれています。
乳歯の形成は胎生期の間順調に進み、形成の途中で誕生を迎えます。大体、出生時には前歯は歯冠(歯の頭の部分) の半分、乳犬歯は1/3、乳臼歯は咬頭という歯の上面の部分がつくられた状態です。このように生れる時には、歯ぐきの中に乳歯がズラリとそろっているわけです。
永久歯の場合も乳歯と同様につくられてきます。歯胚ができるのは妊娠15週ころです。6歳臼歯とよばれる第1大臼歯が一番最初につくられ始め、その後は前歯から順に犬歯へと歯胚の形成が進み、臼歯は出生後になります。永久歯が硬くなり始めるのは誕生のころからで、まず第1大臼歯に石灰化が始まります。