歯の健康 口の健康 特集 1

厚生省は先頃、「日本人の歯は年齢の高い人では、年を追うごとに悪くなっている」という調査結果を発表しました。『なんでやのん?歯科医療も充実し、医療機関も増えているのに……?』と疑問に思われる方も少なくないと思います。こんな結果が出たということは、どこに問題点があるのでしょうか?
この疑問点について、読者の皆さんと共々に考えて行きたいと思います。

現在、日本は世界で最も長寿の国になっています。寿命が長くなるほど、健康で楽しく過ごせるようにしたいものです。生活の楽しみは、おいしく食べること、みんなと楽しく話すことなどでしょうが、これらは皆歯に関係しています。今回まず第1回として、日本人の歯の現状を見てみましょう。
厚生省は、昭和32年の第1回目の調査から、6年間隔で「歯科疾患実態調査」を行っています。
先頃、平成17年11月に実施された第9回の調査の概要が厚生省から発表されました。この調査結果から、日本人の歯がどんな状態かご紹介しましょう。

1. どれくらいの人がむし歯を持っているのでしょうか

歯の健康、口の健康
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う歯有病者率

1)乳歯

5歳以上10歳未満においては、各年齢とも現在歯に対してう歯を持つ割合は50%を超えています。
乳歯では、1歳ですでに3.1%、2歳で17.8%、3歳で24.4%、4歳で44.2%、5歳で60.5%、6歳で63.4%の人がう歯を持つようになっています。(図1)
全体では、う歯のない人50.9%、う歯有病者率は49.1%です。

2)永久歯

5歳以上10歳未満の年齢階級では現在歯に対してう歯を持つ人の割合は14.6%ですが、20歳以上の各年齢階級では9割以上になっています。
過去の調査と比較しますと5歳以上25歳未満の各年齢階級では減少する傾向を示していますが、40歳以上では増加する傾向を示す年齢階級があります。

5~9歳 14.6%
10~14歳 57.7%
15~19歳 73.9%
20~24歳 90.5%
25~29歳 98.3%
30~34歳 98.7%
35~39歳 100.0%
40~44歳 100.0%
45~49歳 99.2%
50~54歳 98.3%
55~59歳 98.0%
60~64歳 96.8%
の人がう歯を持っています。
全体ではう歯のない人は13.5%、う歯有病者率は86.5%です。(図2)

このように子供も大人もほとんどの人は、一生虫歯とつきあっていることになります。
ではこの中から、子供だけを取り上げて、どのくらいの割合で子供が虫歯になっているのかみてみましょう。

歯の健康 口の健康

ほとんどの子供が虫歯におかされています。
図4.に示しましたように、幼稚園児からハイティーンまで、高率で虫歯におかされています。


2. 一人平均何本のむし歯を持っているのでしょうか

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一人平均現在歯数におけるう歯有病歯率

1)乳歯

乳歯全体では、一人平均現在歯数は12.4本で一人平均処置歯数1.6本、一人平均未処置歯数1.3本を合わせた一人平均う歯数は2.9本で一人平均健全歯数は9.5本となっています。健全歯率は76.5%、う歯有病歯率は23.5%となっています。

2)永久歯

永久歯全体では、一人平均現在歯数は20.0本で、一人平均処置歯数8.8本、一人平均未処置歯数1.6本を合わせた一人平均う歯数は10.4本で、一人平均健全歯数は9.6本となっています。
一人平均う歯数(DMFT ※)は全体で17.3本で、また年代が上がるにつれ一人平均う歯数は増加しています。
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3. むし歯の程度はどうでしょうか

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う歯(未処置歯)構成百分率

むし歯(未処置歯)でその程度をみてみましょう。

1)乳歯

軽度う蝕重度う蝕
82.6%14.4%

2)永久歯

軽度う蝕重度う蝕
72.1%27.9%
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C1-C4とは・・・・・?

C1(虫歯1度)はエナメル質の虫歯、C2(虫歯2度)は象牙質まで進んだ虫歯で、C1やC2では虫歯の部分を削り取って、合成樹脂や金属をつめてもとの形に修復します。C3(虫歯3度)は歯髄(いわゆる神経)まで進んだ虫歯で、一般に「神経をとる」といわれている治療をします。ここまで進行しますと、奥歯ではもとの形を失い、ものをかめる状態ではなくなっていることが多いですから、金属でもとの歯の形をつくり、正しいかみ合わせを作らなくてはなりません。いわゆる「かぶせる」治療となります。C4(虫歯4度)は歯冠(頭の部分)がほとんどなくなって、根だけが残った虫歯で、たいていは抜歯することになります。

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