歯の健康 口の健康 特集 2
前回の特集で、日本人の歯の現状で、虫歯についてお話ししましたが、今回は虫歯とともに多い、"歯肉の病気"(歯周疾患)を取り上げてみましょう。
口の中の病気は"虫歯"だけでなく、"歯肉の病気"で歯を失う方も非常に多いのです。
1. "歯肉"に異常所見のある人
年令階級別に"歯肉"に所見のある人の割合を見てみましょう。(図1を参照ください)
5~9才ではもうすでに38.9%の子供に歯肉に所見がみられます。これは年令が高くなるにつれて増加し、50~54才ではなんと87.5%と最も高い率になっています。
図1からわかりますように、小学生や若い人に"歯肉炎"が非常に多く、"歯周炎"と合わせますと、子供達の半分以上が歯肉の病気にかかっていることになります。
歯肉炎は歯周炎の前段階ですから、ほうっておけば歯周炎になります。今、20才代後半あたりから、本格的な歯周炎になっているのが現状です。
2. 年令とともに失う歯の数
失った歯数であなたの年令をチェック
年令階級別に、一人平均喪失歯数を見てみましょう。(図2を参照ください)
20歳代では0.2本。30歳代で1.0本、40歳代で2.3本。50歳代では5.0本、60歳代では倍の10.1本。70歳代で17.6本・・・・・とだんだん喪失歯数が増えていますね。このように40才を境に、それ以降急激に歯がなくなっていることがよくわかります。
あなたは今、何本歯を失いましたか?実際の年令と失われた歯の数から推定する年令を図2でチェックし比べてみられてはいかがでしょう。
60才代で全て歯がそろっておられるという方は、「ご立派!まだまだ若い。」
40才代でもう10本失ったという方は、「これから先、充分気をつけてくださいね。」
上と同じことですが、視点を変えて逆に "何本歯が残っているだろうか?"ということを調べて見ますと表1のようになります。
図3は、28本すべての歯を失った人の割合を表した図です。どうです、40才頃から全く歯のない"無歯顎者"がポツリポツリとあらわれ始めていますね。50歳代で3.0%、60歳代で11.1%、70歳代では36.2%、80歳代では54.2%の人々が無歯顎者です。
歯を失う原図のほとんどは、"虫歯"と"歯周炎"です。若い時は虫歯によって歯を失い、一方、中年以降では歯周炎で歯を失う人が多いのです。
3. 歯のまわりの病気(歯周疾患)
歯肉炎と歯周炎
歯のまわりの病気は一般に"歯周疾患"と呼ばれています。この病気には、"歯肉炎"と"辺縁性歯周炎(または単に歯周病)"があります。
1. 歯肉炎
- 歯肉炎は、慢性炎症が歯肉に限局していて、歯槽骨吸収や歯根膜破壊の起こっていないものをいう。
- 歯肉は発赤、腫張が起こり、歯ブラシを使ったり、リンゴをかじったりすると出血しやすくなる。
- 歯肉炎は、歯垢の多い人に見られる。
2. 歯周炎
- 歯肉の慢性炎症がさらに進展して、深部の歯槽骨や歯根膜に波及し、歯槽骨吸収や、歯根膜破壊が起こっているものをいう。
- 歯肉は発赤、腫張が起こり、出血しやすく、また歯周ポケットからの排膿がみられ、唾液は粘稠で、口臭がある。
- ポケット内に膿瘍の形成がみられることもある。
- 歯肉は徐々に退縮し、歯根は露出してくるが、時には歯肉が増殖してくる場合もある。
- 歯槽骨に骨吸収がみられ、歯は弛緩動揺し、咀嚼障害が起こる。
- 歯には歯垢や歯石が付着している。
歯周炎の進行 | |||
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歯は歯冠と歯根とに分れています。歯根は歯ぐきの骨・歯槽骨の中に深々と埋っていて、抜けないようにしっかり結びついています。この歯を支えている部分を歯周組繊といいます。 | 歯肉が赤味を帯びてはれ、歯をみがく時に歯肉から出血することがあります。 | 歯周炎は歯を支える歯周組織が炎症によっておかされる病気です。歯肉は赤くはれて痛みます。歯肉と歯の間に歯周ポケットと呼ばれる袋ができ、うみが出ます。歯槽骨はなくなって、歯はグラグラするようになり、物がよくかめなくなります。 |